はじめに
近年、電気料金の高騰が続いており、事業運営費のうち「業務用エアコンの電気代」は見逃せないコスト要因になっています。特にオフィスや店舗、その他施設といった業務用途において、業務用エアコンは長時間稼働する機器であるため、消費電力の効率が電気料金に大きく影響します。
古い業務用エアコンを使い続けるよりも、最新の省エネモデルに切り替えることでランニングコストを大幅に下げられるだけでなく、毎月の電気料金の低下分で導入にかかる費用をまかなえる場合も。
本記事では、旧型と最新型の電気代比較、導入メリットや切り替えを検討すべきタイミングなどをご紹介します!
電気代の基本と、旧型 vs 最新型の比較

電気代の計算方法
電気料金の算出方法はご存知でしょうか?業務用エアコンの電気代は基本的に次のような式で求めることができます。
「1時間あたりの消費電力(kW)」×「使用時間(h)」×「電力量料金単価(円/kWh)」
= 電気代(円)
たとえば、消費電力 5.0 kW、電力量料金 20.00 円/kWh の業務用エアコンを 1時間稼働させた場合であれば、
「5.0×20.00=100円」 になります。これを1日10時間、1か月(30日間)稼働させると、3万円。さらに業務用エアコンが複数台あるお店であれば、10万円を超えることも珍しくありません。
もちろん、実際の電気料金は、建物の断熱性や業務用エアコンの機種、運転モードなどによって変動します。あくまでも一例ではありますが、決して安くない金額であることは間違いありません。
旧型と最新型の最も大きな違いは消費電力
業務用エアコンは省エネ性能が年々進化しており、旧モデル(一定速方式)と比較すると、消費電力が大幅に抑えられています。
最新機種の多くはインバーター制御やAIによる運転の最適化機能を備えており、室内温度・負荷変化に応じて圧縮機の出力を変動させながら運転します。これにより、無駄な全力運転や頻繁なオン/オフを避け、電力効率を改善することができるのです。
さらに、古い業務用エアコンは年数が経てば経つほど、その性能は低下してしまいます。内部の汚れや機器部品の劣化によって消費電力が増加していってしまうのです。
一般的には経年劣化による消費電力の増加は、毎年5%程度が目安と言われています。
そのため、導入した当時は最新だった業務用エアコンも、10年経過すれば20~30%程度、それ以上経過すれば50%以上も消費電力が増加してしまっている計算になります。
実際に古い業務用エアコンを使用し続けてしまっている場合は、最新の省エネ型に更新するだけで、電気代が50%以上削減できるケースも珍しくありません。
10年~15年以上前の業務用エアコンを使用している場合は、ぜひ省エネ性能が高いモデルへの更新を検討してみてくださいね。
新型業務用エアコンの維持コストが少ない理由

省エネ性能が高いインバーター式
新型の業務用エアコンにはインバーター式が採用されており、これによって古いモデルと比較して大幅な省エネが可能となります。
インバーター式
室内の温度変化に応じて圧縮機の運転速度を自動的に調整してくれる機能です。
設定した温度に達するとフルパワーの稼働を控えて低速運転に切り替わります。
この機能によって過剰に運転し続けることを避け、無駄な電力消費を抑えることが可能となります。
一定速式
一方、旧型モデルに多い一定速式は常に100%の稼働力で運転します。
設定温度と室内温度に差が開くと全力で運転し、設定した温度に達すると運転を停止するという仕組みです。
このため、インバーター式と比較するとどうしても消費する電力は多くなってしまいます。
新型機器に多いインバーター式であれば、とくに季節の代わり目で温度変化が大きい時期や日射変動の大きい環境でも実力を発揮してくれます。
過冷・過暖を抑えながら安定運転することができるため、無駄な電力の消費を抑制し、室内の温度を一定に保ってくれるため、店舗や施設の利用者にとっても非常に快適な空間を実現してくれますよ。
清掃メンテナンスが簡単
天井カセット型などパネルの取り外しが容易なものはフィルターを取り外しての清掃を比較的簡単に実施することができます。
また内部構造がシンプルな機種であれば奥まった箇所や複雑な部品も少なく清掃作業が容易なため、業者への依頼頻度も少なくなり、コスト削減につながります。
自動清掃機能が優れたものもあり、フィルターに付着するほこりや汚れを自動で除去してくれることで、運転効率の低下を防止する効果を期待できます。
汚れが溜まった状態の業務用エアコンは、運転効率が低下し、通常よりも多くのエネルギーを使用してしまいます。
電気料金にも直接的な影響が出てしまうため、清掃メンテナンスのしやすさは意外と重要な要素となるのです。
補助金・助成金活用の可能性も!
省エネ性能を備えたエアコンへの更新は、国や自治体の省エネルギー支援制度の対象となることがあります。
省エネルギーに対する支援は、地球温暖化の進行抑制やエネルギーの安定供給確保など持続可能な社会の実現にも欠かせないテーマであるため、経済産業省や国土交通省を中心にさまざまな支援策が用意されています。
導入費用の一部を補助してくれる制度を活用すれば、初期負担を軽くできるため、導入検討のハードルを下げられるケースも多くあります。
切り替えを検討すべきタイミングはいつ?
下記のようなサインがあれば、新しい業務用エアコンに切り替えるべきタイミングと考えられます。
- 使用開始から 10年以上 経過している
- 最近、故障や修理をする機会があった
- 電気代の上昇が目立ち、コスト削減の必要性を感じている
- 空調効きが悪く感じられる、温度ムラが生じやすい
- 現行機器の保守部品や技術サポート終了リスクがある
こうしたサインがあれば、最新省エネ機への切り替えによって大幅なコスト削減につながる可能性が高い状況です。
また、新しい業務用エアコンの導入は、3~5月や10月頃など冷房・暖房の使用が一時的に減少する時期に行うのがおすすめです。
機器の使用が少ない時期に行うことで業務への影響も少なく済み、空調業者の繁忙期に当たらないため機器更新にかかる費用がお得になりやすいというメリットもありますよ。
切り替え後も注意したい、電気代を抑えるための運用ポイント

運用の仕方を少し工夫するだけで、さらに電気代を抑えることも可能です。業務用エアコンを最新型に切り替えたあとは、日常の運用方法についても見直してみてください。
フィルター・熱交換器の定期清掃
フィルターや熱交換器の汚れ・目詰まりは、空気流量を減らし、冷暖房効率を落とす原因となります。汚れを放置した機器では、数年で消費電力が 数十%上昇してしまうことも。
2週間~1カ月に1度を目安に掃除を行い、年に1回は専門業者に依頼して本格的な分解洗浄を実施することが望ましいです。
タイマー・運転制御機能の活用
無人時間帯や営業時間外には自動で停止または省エネモードに設定するなど、タイマー・スケジュール運転を活用することが効果的です。
さらに、センサー連動で利用状況を検知して運転制御する機能を持つ機種では、利用者が少ない時間帯には出力を抑えて運転することで無駄を省けます。
断熱・日よけ対策、室外機配置見直し
室外機が直射日光に晒されたり、周囲空間が狭く風通しが悪いと効率が低下します。日よけを設けたり、通風を確保するなどの工夫で冷媒放熱効率を改善できます。
また、建物自体の断熱性や窓の日差し対策(遮光・二重窓・断熱フィルム等)も忘れず実施してください。室内温度上昇を抑えられ、エアコン負荷を軽減できます。
つけっぱなし vs オン/オフ運転
エアコンは起動時に最も電力を消費するため、頻繁なオンオフを避ける方が良いとされています。とくに短時間の不在(30分程度以内)であれば、つけっぱなし運転のほうが効率的になる場合があります。
ただし、1時間以上の不在が見込まれる場合は電源オフが得になることも多く、運用パターンに応じて判断する必要があります。
まとめ
業務用エアコンの切り替えは、初期投資がかかるものの、長期的な視点で見ると大きなメリットをもたらします。
とくに、稼働時間の長い環境や高馬力機器を使っている現場では、電気代差が顕著に現れる可能性があります。
セイコーでは業務用エアコンの取扱い実績が年間1,000台以上あり、メーカー様に対しての交渉力を発揮することが可能です。
コストを抑えつつ新型業務用エアコンの導入をご検討の店舗・施設さまは、ぜひお気軽にご相談ください!
また機器単体の販売もOK!空調機器の仕入れにお困りの空調業者さまも、お気軽にお問い合せください!