はじめに
電気料金の上昇が続く中、店舗やオフィスでは空調コストがこれまで以上に気になるテーマとなっています。一方で、設定温度や稼働時間を見直しても、あまり効果を感じられないと悩む方も多いのではないでしょうか。
そんな中で注目されているのが、業務用エアコンのIoT空調管理です。温度や湿度、人の動きなどのデータをもとに運転を自動調整することで、ムダな稼働を削減し、省エネと管理負担の軽減を両立します。
本記事では、業務用エアコンのIoT連携によって何が変わるのかを中心に、センサー制御の仕組みや自動化による省エネのメリットをわかりやすく解説します。
なぜ今、業務用エアコンのIoT空調管理が注目されているのか

近年、IoT空調管理に注目が集まっている背景には、電気料金の高騰や人手不足による空調管理の自動化ニーズ、そして運用状況の「見える化」による改善効果の把握のしやすさがあります。
特に業務用エアコンにかかるコストは大きく、店舗やオフィスの電力消費量の約40〜50%を占めていると言われています。IoT空調管理を導入して日々の運用を最適化すれば、ランニングコストを大きく削減できる可能性があります。
さらに、遠隔操作や複数拠点の一元管理ができる点も、IoT空調の大きな特徴です。現場にいなくても空調の状態を確認・調整できるため、「つけっぱなし」や「設定ミス」といった人的なムダを防ぐことができます。
これまで人の手や感覚に頼っていた空調管理を、データに基づいて効率化できる手段として、IoT空調への関心が高まっているのです。
センサー制御で何が変わる?IoT空調が省エネにつながる理由
IoT空調管理では、温度や湿度、人の有無といった情報を各種センサーで常時取得し、そのデータをもとに空調の運転内容を自動で判断・制御します。「いま、その空間がどんな状態か」を基準に運転を最適化できる点が、これまでの空調管理との大きな違いです。
最適化の主なポイントを3つにまとめます。
Point1: 在室状況に応じた自動制御
人感センサーや二酸化炭素センサーによって在室人数を把握し、人がいない時は停止や弱運転、混雑時は出力を調整します。誰もいないのに稼働している、ピーク後も強運転のままといった、人の管理ミスによるムダを自動で防ぐことができます。
Point2: 過冷・過暖を防ぐ温度最適化
温湿度センサーが室内環境を検知し、冷やしすぎ・暖めすぎを自動で制御。
電力使用量が10〜20%削減された例もあります。
Point3: 運転負荷の最適化と保守効率化
外気温や日射量に応じて運転を調整し、室外機への負荷を抑制します。また、消費電力や運転データの変化から異常の兆候を早期に検知。大きな故障になる前に点検や修理をすることができます。
IoT空調が効果を発揮しやすい現場と導入例

前章で見てきたように、IoT空調は人の判断や操作に頼らずに空調管理を行える点が最大の強みです。そのため、稼働状況や利用人数が時間帯によって変動しやすい現場ほど、より効果的に省エネ効果を実感できると言えます。
ここでは、IoT空調が特に効果を発揮しやすい代表的な現場と、その導入例をご紹介します。
飲食店
ランチやディナーの混雑状況が時間帯によって大きく変わるため、センサー制御との相性が良い場所です。導入例では、月の電気代が約10〜15%削減されたケースもあります。
クリニックやサロン
入退室に伴う温湿度の変動が多く、過冷却や過暖房による快適性低下のリスクも高い場所です。IoT空調を利用することで、室内の状況に応じたきめ細かな制御が可能となり、クレームの減少につながった例もあります。
オフィス
「つけっぱなし」や、誰もいないフロアでの無駄な稼働が発生しやすい環境です。入室状況に応じた自動制御や、曜日ごとのスケジュール設定により、全体で約20%の電気代削減が実現した事例もあります。
倉庫や工場
天井と床の温度差が大きくなりやすく、空調効率が落ちる空間です。センサーで温度差を検知し、ファンやサーキュレーターと連携させることで、作業環境の均一化と電力削減を同時に達成しています。
IoT空調は後付けできる?導入方法と判断のポイント
IoT空調の導入と聞くと、最新型のエアコンへの入れ替えを想像される方も多いかもしれません。しかし最近では、温湿度センサーや人感センサー、スマートリモコンなどを既存のエアコンに後付けすることで、費用や工数を抑えながら気軽に空調のIoT化を進めるケースも増えています。
導入費用の目安は、制御範囲や拠点規模によって異なりますが、一般的には1拠点あたり数十万円程度から検討できます。さらに、目的に応じて必要な機能だけを選択できる点も魅力です。
後付け導入を検討する際は、改善したいポイントを明確にすることが重要です。たとえば、「つけっぱなしを減らしたい」「遠隔でオンオフを管理したい」といった目的であれば、最低限のセンサーを追加するだけでも効果が期待できます。一方、温度制御まで含めた自動化を望む場合は、対応機種や制御範囲の確認も必要です。現在の使用機種や環境、改善したい点を整理したうえで、一度専門家に相談することをおすすめします。
また、エアコンの使用年数が長く、電気代や故障が気になっている場合は、IoT対応の新型エアコンへ入れ替える選択もあります。こちらは費用感として、本体と工事費込みで数十万円から数百万円規模が目安です。長期的な省エネ効果や保守負担の軽減も検討して、最適な選択をしましょう。
まとめ
IoT空調は、温度設定やオンオフ操作を自動化することで、これまで感覚や手作業に頼っていた空調管理を、データに基づいて最適化できる仕組みです。電気代を中心としたランニングコストの「見えにくいムダ」を可視化し、センサー制御による無理のない省エネ運用を続けやすくなります。
導入方法には、既存の業務用エアコンにセンサーを追加する後付け型もあり、負担を少なく始めることも可能です。求める省エネ効果や管理のしやすさ、初期コストとのバランスを考慮しながら、最適な方法を選びましょう。
セイコーは、年間1,000台以上の業務用エアコンの取り扱い実績をもとに、お客様の設備状況や運用環境に合わせた最適な提案を行っています。「今の空調を活かして効率化したい」「入れ替えと後付けのどちらが良いか迷っている」といった段階でもお気軽にご相談ください。


